矯正歯科治療
矯正歯科治療とは悪い歯ならびや噛み合わせを、
きちんと噛み合うようにして、良い歯ならびにする歯科治療です。
矯正装置を通じて、歯やアゴの骨に力をかけてゆっくりと動かして、
歯ならびと噛み合わせを元から治していきます。
歯が正しく咬み合わないため食物はよく咬めません。
その結果、胃や消化器官の負担を大きくします。
また、乱れた歯ならびは、歯の清掃がよくできませんので虫歯や歯周病にかかりやすくなります。
さらに、成長途中の子供達にとって、悪い歯ならびは顎の骨の正常な発育を妨げる場合もあり、
また、発音にも関係しますので、心理的な負担となることもあります。
ですから子供のうちに矯正歯科治療を受けたほうが良いというのはこのような理由から言われています。
もちろん成人してからの矯正歯科治療も可能です。
① (相談)
診察してから、症状について説明したり一般的な治療方法を解説します。
そして、骨格や噛み合わせの程度、矯正を始める年齢および協力度によって治療の効果や期間は違いますので、
大まかな治療期間や治療費について説明します。
なお、お支払い方法なども受付でご確認ください。
② (治療開始の検査)
レントゲン写真や歯列模型の型などを採取します。
また、装置の型取りや装着の準備もします。
③ (装着)
装置を装着します。
そして、装置についての注意事項やメンテナンスの方法や歯みがきの仕方、
食事の時の注意事項についても説明します。
また、装着したことによる違和感や痛みなどについても説明します。
④ (治療)
装置や治療方法によって異なりますが、定期的に来院いただいて装置を調整します。
例えば、床装置などの時は1~4ヵ月毎に、ブラケット装置の場合には毎月1回に調整します。
なお、治療期間は、元々の歯ならびの状態や治療を開始する年齢や方法によって異なります。
治療方針通りに進まないことがあることもご了承ください。
⑤ (治療終了の検査)
治療が終了したら治療効果を確認します。
治療後は保定装置に切り替えて、定期観察をします。
⑥ (定期観察)
成長を観察したり治療後の経過観察をしているときは、3~6ヵ月毎に診察します。
必要に応じて定期的に検査することもあります。治療後約2年間は続けましょう。
成長期においては、歯を抜くより先に上顎の後退と下顎の成長促進を図って治療します。
成長の盛んな9~14歳の間にヘッドギアとマウスピースを併用すると噛み合わせが改善できます。
主訴 | 前歯が出ている |
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診断 | 上顎前突 |
治療方法 | 機能的矯正装置、上顎後方、牽引装置、非抜歯 |
治療期間 | 24か月 |
治療費 | 165,000円(税込)と調整料毎月5,500円(税込) |
上顎の歯列が前方狭窄していると前歯は前突して下顎が後退します。
そこで、上顎歯列を側方拡大して形態を整えると噛み合わせが改善できます。
主訴 | 前歯が出ている |
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診断 | 上顎前突 |
治療方法 | 拡大床装置、非抜歯 |
治療期間 | 12か月 |
治療費 | 110,000円(税込)と調整料毎月5,500円(税込) |
自費治療【全額自己負担】:¥165,000 ~ ¥660,000(税込)
矯正治療中の調整料は(毎月、あるいは2~3か月毎に)5,500円(税込)、
矯正治療後の定期観察料は(3~6か月毎に)2,200円(税込)となります。
成長期においては前歯部被蓋を改善して成長観察します。
裏側からバネを使って上顎前歯を唇側に移動したり、チンキャップで下顎を後退させたりします。
主訴 | 前歯の噛み合わせがわるい |
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診断 | 反対咬合 |
治療方法 | 舌側弧線装置、下顎骨成長抑制装置、非抜歯 |
治療期間 | 20か月 |
治療費 | 165,000円(税込)と調整料毎月5,500円(税込) |
成人になってからでも治療できます。
上顎歯列を前後や側方に拡大して叢生(デコボコ)を改善します。
時には抜歯することもあります。
主訴 | 反対咬合 |
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診断 | 反対咬合 |
治療方法 | ブラケット装置、非抜歯 |
治療期間 | 24か月 |
治療費 | 660,000円(税込)と調整料毎月5,500円(税込) |
自費治療【全額自己負担】:¥165,000 ~ ¥660,000(税込)
矯正治療中の調整料は(毎月、あるいは2~3か月毎に)5,500円(税込)、
矯正治療後の定期観察料は(3~6か月毎に)2,200円(税込)となります。
前歯部のみにみられる叢生は生え替わりの途中で改善すると、
全体の矯正をしなくてすむことがありますので、早めの受診相談をお勧めします。
歯の裏側からバネで押したり、歯の表面にブラケットを接着して整列します。
主訴 | 前歯の歯並びが悪い |
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診断 | 上顎前歯部叢生 |
治療方法 | 舌側弧線装置、ブラケット装置、非抜歯 |
治療期間 | 12か月 |
治療費 | 165,000円(税込)と調整料毎月5,500円(税込) |
自費治療【全額自己負担】:¥110,000 ~ ¥165,000(税込)
矯正治療中の調整料は(毎月、あるいは2~3か月毎に)5,500円(税込)、
矯正治療後の定期観察料は(3~6か月毎に)2,200円(税込)となります。
前歯部にみられる叢生では上顎の奥歯を後方移動して歯列を大きくすることもできます。
ヘッドギアで上顎大臼歯を後方移動してからブラケット装置で整列します。
主訴 | 歯並びが悪い |
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診断 | 叢生 |
治療方法 | 上顎後方牽引装置、ブラケット装置、非抜歯 |
治療期間 | 36か月 |
治療費 | 660,000円(税込)と調整料毎月5,500円(税込) |
自費治療【全額自己負担】:¥165,000 ~ ¥660,000(税込)
矯正治療中の調整料は(毎月、あるいは2~3か月毎に)5,500円(税込)、
矯正治療後の定期観察料は(3~6か月毎に)2,200円(税込)となります。
1.取りはずしのできる装置(可撤式矯正器具)の場合
① 装着時間と使用努力
取りはずしの装置では、装置を着ける努力が必要です。そして、一日の中で長く着ける方が効果が現れやすいですし、毎日使うからこそ効果が出ます(使ったり使わなかったりでは効果がありません)。装置によっては就寝時に効果を期待する物もありますが、日中する場合には状況に応じて装置をはずしたり着けたりすることがありますのでやや面倒でしょうが(給食、体育、音楽の授業など、あるいは、会談するときなど)、使い続けると慣れてくるようです。
② 装置の手入れ
装置の手入れはとても大事です。歯みがきする時に装置をブラシで洗ってください。しかし、お湯で洗ったり、漂白剤やアルコール系の消毒液に浸けたりしないでください。また、直射日光が当たるとか、熱くなる所を避けて保存してください。また、大切にしていても装置は壊れることがあります。もし、装置が壊れたり変形したらすぐに修理した方が良いのでご連絡ください。変形したまま我慢して使ってはいけません。
2.取りはずせない装置(固定式矯正装置)の場合
① 違和感と歯みがき
ブラケット装置や舌側弧線装置などの固定式の装置では、会話、食事の時に違和感がつきものです。装着した違和感には慣れるしかありませんが、およそ1週間ぐらいで慣れるのが普通です。また、食事のあとは装置の周りに食べカスが引っかかっていますので毎食後の歯磨きが大切です。汚れが残っていると虫歯のリスクが高くなりますので、毎回の努力が重要です。もちろん、診察したときには歯磨きのチェックをして、歯石や着色などは取り除きますが、基本的には毎日のケアであることを理解して頑張ってください。治療中に虫歯が見つかったときには早急に対応します。気になるところは相談してください。固定式装置でもゴムなど着けはずしの器具の使用協力を必要なときがありますので、良い効果が出るように指示を守ってください。
② 審美的な治療
装置が見えることを気にする人が多いようですが、本人は気にしているものの周囲の人は常には注視 しているわけではありませんので、輝麗になるために努力していることを納得しましょう。むしろ、自分のために良いことをしているのです。なお、ブラケット装置は前歯部ではセラミック製を利用していますので歯の色に近く目立ちにくいようです。
③ 抜歯か非抜歯か
抜歯するか非抜歯で矯正治療するかは、歯の大きさの総和と顎の大きさとの比較し、前歯を移動する量などを予測してどの歯を抜くか提案しますが、ご希望にも配慮して方針が決まります。歯の数が少なくなることは噛み合わせに良くないようにも思えますが、上下が不揃いで噛み合わせが悪かったときに比べると噛む効率は上がっていると言えます。あるいは、歯を抜かずに歯の側面を少し削って治療することもあります。装置は接着剤で歯に接着していますので、かたい物を噛んだり、弾力性のある物を噛むとはずれたり、ワイヤが曲がったりすることがありますが、すぐにご連絡ください。
3.矯正治療中の痛み
① 歯が動く痛み
矯正治療は痛みを伴うものです。これは、歯が動くとき、骨に埋まった歯根が押されるのでそこに痛みを感じるためです。しかし、当たっている部分の骨は2~3日かけて徐々に溶けて緩くなり、痛みが消えるものです。それで、装置を調整した2~3日は堅いものをさけて、大きいものは小さく刻んでから食べる工夫が必要です。その後、痛みが引けば支障は無くなりますので安心してください。なお、始めて装置を着けたときは予想がつかないことでしょうから、寝る前に鎮痛剤(日頃飲んだことのある市販の鎮痛剤で十分です)を飲むと、痛みがなくすっきりと眠れるようです。しかし、痛みが長引くようであれば治療方法を変更する必要があるかもしれませんので相談してください。
② 口内炎
また、治療期間中は、装置が頬や歯茎、舌などに当たって口内炎ができることもあります。これは装置が壊れたり、ずれたり、変形していることもありますので、早めにご連絡ください。
4.検査について
治療開始時と終了時は必ず検査をします。レントゲン写真と歯列の型を採ります。その結果で、治療方針を決めたり、治療前後の評価をします。治療前の検査で、埋伏歯など異常が見つかった場合には歯科大学などへ紹介することもあります。特に治療終了時の検査はその後の安定を評価する際に重要ですので、治療が終わったからといって来院を欠かさないでください。また、治療途中で経過をみるためにレントゲン写真を追加撮影することもあります。
5.治療経過について
治療途中で治療方針などについて再相談を希望される方もあります。ご希望通りにはかなわないこともありますが、ご意見やご要望はいつでもお申し出ください。また、期待された効果が出ないときや歯が予想どおりに動かないときには検査・再評価して治療方針を変更することがあります。なお、治療期間は目標であり、およその目安なので、治療途中で予定通り進んでいるか確かめ合うことが必要です。不安な点や、気になることはこまめに先生に相談してください。
6.治療後の経過観察(保定装置)の場合
① 保定装置へ切り替え
装置を除去したらすべて終わりではありません。矯正治療後は歯列が安定するまで定期観察が必要で、歯ならびを維持する装置に切り替えます。装置には取りはずしの床装置のこともあれば、ワイヤを接着して固定することもります。取りはずしの保定床装置は使用方法をよく理解してご協力ください。また、ワイヤ固定の場合には変形、脱離、歯石について定期的にをしていきます。
② 保定装置の装着
装置を除去して保定床装置に切り替えたばかりの時は骨がまだ安定していませんので、数日間、保定床装置を使用しないで過ごすと歯がわずかに動きます。そして、保定装置がはいらなくなることがあります。数年かけた治療も水の泡となりますので、必ず毎日装着してください。装着時間は取り外しのできる装置と同じで、夜間は勿論できる範囲で長時間装着してください。なお、ワイヤ固定の場合には脱離しない限り維持されます。治療後の定期観察は2年ぐらいを目安にしますが、様子を見ながら継続する場合もあります。きれいな歯ならびを維持管理するために、長く定期観察を続けても構いません。